和みの“揺らぎ”おすすめ度
★★★★★
エレクトロニカに傾倒したオリジナルアルバム『CHASM』を経て、
96年以降度々発表してきた自曲のピアノ・アルバムの04年版。
選曲基準は特に決まっていないらしいですが、ピアノアレンジの定番とも言える4.Merry Christmas Mr.Lawrenceから、
実験的で過激な音響処理が行われた2ndの『B-2Unit』に収録された8.Riot In Lagosまで実に多彩です。
今回のテーマは教授曰く“ゆるみ系”ということらしく、その言葉が特に現れているのが曲のテンポです。
別にゆっくりしているというわけではありませんが、楽曲の静けさを強調する部分では緩やかに、
クライマックスに向けて盛り上がる個所などでは力強くテンポアップしたり、
YMO時代にやっていたメトロノームのクリックに合わせて演奏するスタイルとは間逆の弾き方をしています。
そのテンポ感のゆるさがアルバム全体(といっても多重録音された8.などはクリックに合わせてますが…)
に和やかで感性豊かな雰囲気を醸し出しています。
また、完全なピアノソロというわけでは無くチェロやバイオリンといった弦楽器、
7.Undercooled - acousticaのようにカヤグム(琴のような韓国の伝統楽器)を使用したり、
MCスナイパーのラップなどにエフェクト処理を施しています。
個人的には前述の4.7.8.の他に、CMでおなじみの1.Asience - fast piano、
映画ラスト・エンペラーの挿入曲5.Rain、弾き語りのように教授自身の歌声が聴ける6.Perspective、
『1996』にも収録された感傷的な雰囲気が素晴らしい11.Bibo no Aozora(美貌の青空)、
尺八の響きが印象的な13.Seven Samurai - ending themeもとても素晴らしいと思います。
教授が残した04年。おすすめ度
★★★★☆
歳を重ねるにつれ音が豊かになる。
そんな永遠の探求者・坂本教授のアルバム。
僕は好きです。
全体的に柔らかい感じ。
定番の「Merry Christmas Mr.Lawrence」から
CMで使用された「Asience」まで。
僕が好きだったのは「Perspective」。
淡々と物語る日常の一欠片。
出勤中に聞きたくなる曲です。
買っても損はない。
とりあえず聞いてみたら良いと思う。