皆さん言われているように、シングル曲多すぎ。特にウザイのがカップリング。だからって、初心者にいいかと言われると微妙。「からっぽのブルース」みたいな名曲を残して一枚にすれば、文句も一切出なかったと思う。
滅びゆく美しさおすすめ度
★★★★★
私がこのアルバムを通して感じたのは、「夏・海」といった従来のサザンの姿ではない。夏を過ぎ、冬に向かって静かに色褪せていく秋の風景だった。
勿論「涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE〜」「君こそスターだ」など、夏がテーマの曲は少なからず収録されている。しかしそれらは、このアルバムの中ではどうしても追憶の風景であるような気がしてならない。
1978年にサザンのメンバーが20代前半でデビューし、今やメンバー全員が50代を迎えている。このアルバムは、いずれ必ず訪れるサザンオールスターズの終焉に向けての「終わりの始まり」であると思う。
そして、「キラーストリート」を聴く限り、それは甘美な滅びであるに違いない。異常なほど気合が入り緊張感漂う前作「さくら」と、肩の力が抜けた今作「キラーストリート」を聞き較べてみると、サザンの新たな到達点が見えてくるように思う。
妙に人生について考えさせられる、名盤である。(翌年のシングル「DIRTY OLD MAN〜さらば夏よ〜」にも同じことが言える。あのシングルは、キラーストリートに入れたほうが、収まりが良かったのでは?)